先生とあたし(仮)
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「―ル……ハル……ハルったら!!」
「…ぅわあ、ビックリしたあ」
百合の声に驚いて目を覚ます。
「―っ、あれ?もう終わったの?」
大きく一回伸びをしながら百合に尋ねる。
周りの生徒は出口に向かってザワザワと歩き出していた。
「さっき終わったよ。
ていうか、よく立ったまんま寝られるよね?」
「だって壁に寄りかかってたじゃん」
「壁に寄りかかったって言っても―」
あたしが起き出してからグダグダ言う百合は放っておいて、あたしもみんなに続いて出口に向かう。
「―ってちょっと!!
あんた誰が起こしてやったと思ってんの!!」
プリプリしながらあたしに置いていかれたことに気づいた百合がやってくる。
「かわいいかわいい百合ちゃんでーす」
めんどくさくなったあたしがいつもの言葉を返す。
これはあたしがよく口にする言葉。
別に貶してる訳じゃない。かわいいのは事実だし。
「…ハルはそうやって言えば何でも許されると思ってるでしょ」
百合がハァと一つ溜め息をついて、また小言を言い始める。
顔がかわいいのに、こういうとこもったいないって思う。
だって、あたしに小言を言う様はお姑さんそのものなんだもん。
まあそんなこと言っても百合がモテることはわかりきってるんだけどね。
「聞いてるの!?」
「え?んー…聞いてない」
あたしは百合に向かってヘラーっと笑う。