先生とあたし(仮)

「百合とは普通に話すけどね?」

「それはあたしがハルといつも一緒にいるからそうなっただけでしょ」


そういうもんか。


「そういえば百合は最近景斗見ても騒がないね?」


ふと、さっきの瀬南と有美の反応を思い出す。


去年はイケメンだと言われている景斗を見て百合も騒いでいた気がするんだけどな。


「あたしは他人のものには興味がないっていうか。
まあハルと景斗くん見てたらねー…」


腕を組んでこっちを見ながら、一人で頷いている。


何が言いたいんだ?


「で、荷物は片づけ終わったの?」


え?いきなり話題転換?


「あー…まだ。昨日ネットでカラーボックスとか収納するやつ注文した」

「そういうの先に注文しない?」

「忘れてたんだもん」

「ハルってそういうやつよね」


――キーンコーンカーンコーン


HRの鐘が鳴って、百合は席に帰って行った。


「ほら席着け~」

慎ちゃんが入ってきてザワザワしながら人が動く。



それにしても、この席日当たりいいなー。

春の暖かい陽射しを浴びながら、何気なくそう思う。

「今日は委員会とか係を決めるからなー」



なんか昨日寝てないから、眠いかも。


頭とまぶたがどんどん重くなっていく。


慎ちゃんの教壇からの話し声をバックミュージックに、あたしはそのまま寝てしまった。

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