先生とあたし(仮)
―――
――


「…ん……あれ?」

「あ!やっと起きた!」

目を覚ますと目の前の席でお弁当を食べる百合が目に入った。


「委員会とか決めるの終わったのー?」


んー良く寝たなあ。


大きく伸びをすると背中の骨がポキポキ鳴った。


HRから昼休みまで寝るって、あたし寝過ぎだよね。


「ハルは百合と一緒で英語係だって」

「ふーん。英語係か」

なんか楽そうだな。
めんどくさいやつじゃなくてよかった。
英語係かー。
英語係ね…英語…。


「英語ー!?」

英語って…あたしのクラスの英語担当って言ったら槻嶋じゃん!!

「なんで勝手に決めちゃったの!?」

槻嶋なんかにこれ以上関わりたくないのに。


「だってハル寝てるんだもん。
あたしがじゃんけんに勝ってまで同じ係にしたんだから感謝しなさいよ。
もしかしたらクラス長にされてたかもしれないんだから」


クラス長は確かに遠慮したいけど、じゃんけんまでして英語係にしてくれなくても…。


「あたしと有美もじゃんけん参加したのに負けちゃったんだよー」

「じゃあ、瀬南か有美と交換してあげる!!」

こういうのって、やりたい人がやった方が絶対にいいでしょ。

「ダメなんだって。
文句なしってことでじゃんけんになったんだもん」


文句なしって言っても、あたしやりたかった訳じゃないのにー!?


「諦めなよ、ハル☆」


笑顔で話しかけてくる百合がこれほどまでに憎いと思ったことはない。

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