先生とあたし(仮)
「あー人気あるよな、あの先生。
俺のクラスでも人気だよ」
あたしの押すカートに人参を入れながら景斗が言う。
「確かにかっこいいよ、あの顔は」
「あたしは景斗の顔の方が好み」
玉ねぎをカートに入れて、次のじゃがいもを探す。
「まじでまじで?」
「うん」
「そっか!悠、今日泊まっていい?」
「……」
景斗が腰に手を回して、あたしとの距離を詰める。
ここ、スーパーなんですけど。
今の時間帯、ちょうど混んでるんですけど。
あんたには恥じらいとかないのか?
なんでこんなやつがモテるの
かわかんないよね。
「な?いいだろ?」
「バカなこと言ってないで次じゃがいも!」
景斗の手を思いっきりつねる。
「…痛ーっ!!冗談だろー」
景斗のは冗談に聞こえないから。
無事に買い物を終えるとあたしの家に帰ってきた。
「カレーくらい作れるようになろうね、悠ちゃん?」
「バカにしないでよ!」
カレー作れないのはほんとだけど、景斗のバカにした話し方が嫌に鼻につく。
「ごめんごめん!」