先生とあたし(仮)

「ん?なんかあったのかな?」

階段の下から職員室の前にかけて、人だかりができていて廊下が詰まっている。

もう、これじゃ教室帰れないじゃんか。


イライラするあたしを余所に、百合は首を伸ばして何かを発見したようだ。


「あー…槻嶋先生だよ」

「…槻嶋?誰それ」

あたしも百合同様に首を伸ばして人だかりの向こうを見てみた。

女の子たちに囲まれて立っているその男の人に目を凝らす。
女子にしては高い165オーバーの身長を駆使しても、身長が高くて黒髪の誰かが立っていることしかわからなかった。


「そっか。ハル寝てたから知らないんだよね。新しい先生だよ、英語の。
槻嶋 脩平(ツキシマ シュウヘイ)先生だって」

「え、英語…」

まさかの英語教師ですか…。
英語の『え』の字を聞いただけでもゲンナリする。

「それがなかなかイケメンでさー!!
なんていうの?クールそうなとこがいいっていうか」

百合が興奮して熱弁する。
百合はイケメン好きだからなー。

「イケメンねー。どれどれ」


ようやく職員室まで10メートルというところまできて、顔が見れるようになった。
女の子の人だかりがやばい。
これ、一種のアイドル状態じゃん。


肝心の顔は―…あーなかなかかっこいいかも。


横顔のその先生は切れ長の目に小さい顔。
長身のおかげで8頭身とは言わず10頭身くらいはありそうだ。
雰囲気からしてイケメン。
これはキャーキャー言うのも頷ける。

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