先生とあたし(仮)
「こっちは迷惑。あんたの顔、見たくないし」
「その割にはずいぶん俺と積極的に関わろうとしてるみたいだけど?」
これはたぶん係のことを言ってる。
「違っ…あれは勝手に百合が……」
「俺には知ったこっちゃないけどさ…」
そう言うとあたしの腕をつかんで引き寄せた。
また…!!
「離してよ!!」
槻嶋から何の銘柄かわからないけど、香水の香りが漂ってきた。
「楽しませてもらうよ」
あたしの左の耳元で息を吹きかけるように言う。
「…っ」
あたしは素早く槻嶋から離れると、左耳を押さえてまた睨んだ。
そんなあたしを面白そうに見ると玄関を出ていって。
隣りの部屋のドアが閉まる音がした。
「大っ嫌い」
あたしがつぶやいた言葉は静かな部屋に消えて言った。