先生とあたし(仮)
考えても仕方ないので止まっていた手をまた動かす。
取って、そろえて、止めて。
取って、そろえて、止めて。
結構なスピードでやってるつもりなんだけど、なかなか減らないプリントに苛立ちが募る。
取って、そろえて、止めて。
取って、そろえて、止めて。
「ちゃんとやってんのか?」
「うわあっっ!!」
いきなりの背後からの声に驚いて、バサバサと手にしていたプリントが床に滑り落ちる。
「ったく、何やってんだよ」
槻嶋があたしの近くまでやってきて、落ちたプリントを拾う。
「あ…あんたね…」
いきなり声かけてくんなよ。
「なに?もしかしてびびっちゃった?」
あたしの嫌いなニヤニヤ顔をこっちに見せてくる。
「びびってなんかない」
ほんとのこと言ったらどうなるかなんて目に見えてる。
「ふーん」
槻嶋はニヤニヤ笑いをやめない。
まじでうざい。
槻嶋は放っておいてプリントを止める作業を再開する。
「へえー。まあちゃんとやってるみたいだな」
槻嶋は少しバカにしたような声と共にデスクの上に積み重なったプリントの山からひとつ取り出して、パラパラとめくる。
「あのね、バカにしないでくれる?」
あたしにだってこれくらいできるっての!!
槻嶋の方を一瞥するとニヤニヤ笑ったままこっちをじっと見つめている。