先生とあたし(仮)
―――ドンッ
景斗の壁を殴る音にビックリして体がビクッと震える。
景斗がこんな風になること、めったにないから驚いた。
「…よく来んの?」
「…え?」
「…槻嶋先生だよ」
こちらを振り向いた景斗の目には暗い影が落ちていた。
…どうしてそんなにつらそうな顔なの?
「この間1回来ただけ」
「……」
景斗はため息をひとつつくと髪をぐちゃぐちゃにする。
「……俺もやっぱガキだな」
自嘲気味に薄らいだ笑いを顔に浮かべてつぶやいた。
「つか、なんで先生が知ってんの?」
悠の家のこと、と続けると部屋に続くドアをくぐり抜けてソファーに座る。
あ、そうだ。
それを説明しないことには…。