先生とあたし(仮)
「あいつ。槻嶋。
あたしのこと見て笑った」
「は?なに言ってんの?」
百合がなにバカなこと言ってんだって目でこっちを見てくる。
「だーかーらー!!
あたしのことバカにした!!」
声を大にして言ったせいで、階段にあたしの声が響く。
周りの人があたしたちに目を向けるのがわかった。
「ハル!もう少し静かに!」
口の前で人差し指を立てた百合があたしを窘める。
「だってー!!」
あたしは昔から人にバカにされることが大っ嫌い。
それもあたしをよく知りもしない人なら尚更むかつく。
「英語教師って言ったっけ!?
まじあいつの授業になったらやってらんないんだけど」
苦手な英語がますます苦手…ってか嫌いになるわ。
「でもうちの学年の英語教師になるかわかんないし、英語教師だって10人以上いるんだし大丈夫じゃないかなあ?」
なんて百合がいうから少し安心したのに。
「…槻嶋!?」
人だかりのできたクラス内掲示板に貼られた時間割には英語担当 槻嶋の文字。
「…ハル。ドンマイ」
ふん。自分は嬉しそうにしちゃってさ。
嬉しそうにする百合の横顔をジトーっと見つめた。
女の子たちはキャーキャー言ってる。
クラスの男子とあたしはそれを白けた気分で眺めているだけだった。