先生とあたし(仮)
百合は数学に必死みたいだ。
クラスを見回すと、みんな思い思いの教科を熱心に勉強している。
今は数学の時間だけど、テスト範囲が終わったから自習の時間。
教壇の前の椅子に座って居眠りをしているおじいちゃん先生の禿げた頭の頂上がこちらからよく見える。
百合が教えてくれないので仕方なく、百合に示された教科書の部分を見る。
えーと…関係代名詞の見分け方。
関係代名詞whatの後ろに……。
「って、何これ…」
思わず小さくつぶやいた。
チンプンカンプン。
関係代名詞がどうとかの前に何で関係代名詞を使わなきゃいけないのかわかんない。
ていうか、まず教科書の説明でわかったら質問しないだろ百合さん。
頭痛の種の英語は早々に諦めて机にしまった。
それと同時に授業の終わりを告げるベルが教室に鳴り響いた。
禿げおじさんは何も言わずに教室を出て行った。