先生とあたし(仮)

キッチンへ移動して冷蔵庫の中を確認する。


この間買い物に行ったばかりなので、材料は充分にある。


何にしよう…。

景斗に習って以前よりも料理が出来るようになってはいるものの、まだあたしに作れるのなんてたかが知れてる。


「焼きうどんにしよー…」

これなら難しくないし、そんなに時間もかからないだろうし。


野菜を切って、炒めて。


作ってる途中に気づいた。


2人前作っちゃてるじゃん。


ま、お腹空いてるし食べられるよねー。


お皿に出来上がった焼きうどんを乗せて部屋に入る。


「おっ、美味そうじゃーん」

槻嶋があたしの手にしている焼きうどんを目にして口の端を上げる。


「これはあたしの!あんたのじゃないから」


テレビにはあたしのいつも見るバラエティー番組が映し出されていた。

もうこれが始まる時間になっちゃったんだ。



テレビの見えるソファーの前の位置まで移動して、そこに腰を下ろす。


槻嶋との位置が少し近い気もするけど、見たいテレビを前にして背に腹は変えられないといったところだろうか。


「いただきまーす」

顔の前で手を合わせて、一口。


うん、なかなかいいんじゃないか?なんて自画自賛かな。


テレビの中では先週の予告から楽しみにしてた企画ものが始まっていてあたしの興味がそっちに移る。





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