先生とあたし(仮)
「まずはー、服からかな」
あたしは洋服と書いてあるダンボールを引っ張り出すと、ガムテープをはがす。
中から洋服を取り出して、クローゼットにしまう。
服だけで軽く5箱はあるのに。
「これ全部片付けるのかー…」
部屋に置かれたダンボールの山を見てため息をついた。
昔から掃除・洗濯・料理、なんていう家事全般は苦手分野だった。
これからはできる限り頑張らないと。
……せめて掃除と洗濯くらいは。
ピーンポーン――
こんなときに誰だ?
宅急便かな?
「はーい」
扉を開けるとそこに立ってたのは長身の茶髪の男の子。
「よっ!」
「なんだ景斗」
「なんだって…ひどくね?」
そう言いながら、玄関に足を踏み入れる。
藤森 景斗(フジモリ ケイト)。
彼はあたしの高校の同級生であり、昔からの幼なじみである。
「おー…やってんなー。
まだ全然進んでないみたいだけど」
ズカズカと足を進めて、部屋に入る。