先生とあたし(仮)
「今回はライティングもあるし、科目も増えたしやばいよー」
まあライティングは先生の過去問がそのまま出るからまだいい。
英語だけど、ほぼ暗記みたいなもんだ。
中間は6教科、今回の期末は9教科。
ネックのなるのはもちろん槻嶋の英語だけど、暗記モノの日本史と世界史のダブルパンチも得意教科だとは言ってもごちゃ混ぜになったら大変だ。
「そんなこと言っても篠塚さんは心配いらないでしょ。
俺なんか化学と数学やばいけどね」
祐輔の後ろから隼人がひょっこりと顔をのぞかせる。
彼は理系が苦手らしい。
「隼人ー、行ーくーぞっ!」
その声とともに、あたしの頭に重みを感じる。
振り向かなくてもわかる。
景斗だ。
「明日から部活禁止だからな。
今日はおもいっきり動かねーと」
声色のワクワク具合が今のあたしにはちょっとウザかったり。
…サッカーバカが。
「悠、今日は一人な!!
明日は一緒に帰ろーぜ!!」
ポンポンと頭を軽くたたくと隼人を連れて教室を騒がしく出て行った。
「…景斗って過保護ってか何てーか…、な」
「…はあ」
英語のことを考えてあたしはまたためいきをついた。