先生とあたし(仮)
今日一番の授業は槻嶋の英語。
あたしはふて腐れてノートの端に落書きをしながら授業をやり過ごしていた。
数年前に流行った黄色いからだのほっぺに電気をためるネズミを誇らしげに見つめる。
なかなか上手く描けたじゃん。
ふふふ、とひとりでほくそ笑んでいると左側に人の気配を感じてバッとその人物を見上げる。
「へえー…中間テストであんな点数取っておいてよくもそんな落書きしてられるな、篠塚」
「なっ!!」
いつからここに!!
ていうかいつ動いたんだよ!!
クラスのあちこちから失笑が漏れる。
ふと目があった百合には呆れた眼差しを送られた。
「ノートを覗くのはプライバシーの侵害です」
「そんなの見ても何かわかんねーよ」
「ピ○チュウです!!」
「そんなにふてぶてしい顔したピ○チュウなんて知らないな」
槻嶋の言葉に今度はクラス中に笑いが巻き起こった。
バカにした笑みを残して槻嶋は教壇へと戻っていく。
……。
あーまじいらつくわ。
「じゃあ今日はここまで。
あ、テストのことだけど前回のテストを簡単にしすぎたみたいで他の英語の先生たちに怒られたから、今回は少し難しくしておいた。
だから気合いれて勉強してこいよー。
ちなみにあまりにも悪い点数取ったら夏休み補習だからな」
悪魔の笑みを残すと教室から出て行った。
…この間よりも難しくしておいた?
あたしに対する当てつけとしか思えない。
しかも点数悪かったら補習とか……
「具体的に何点か言えよー…」
あたしのつぶやきは机の上に落ちた。