旦那様は社長 *②巻*
ちょうどその時ーー…
ガラッと病室のドアが開き、社長が中に入ってきた。
「なんだ…もう起きたのか?…気分はどうだ?」
久しぶりに見た、優しい穏やかな表情を見せながら。
「うん…さっきよりはよくなった気がする」
「今日はこのまま入院だから」
あたしの側まで来た社長が、椅子に座りながらあたしに告げた。
「えっ…入院?」
あたしやっぱりどこか悪いの…?
急に不安になって、少し涙目になった顔を社長に向ける。
「心配すんな。変な病気とかじゃないから。ただあまりにも貧血ひどいから、今日はこのままここで休んだ方がいいだろうって…先生が」
貧血…なんだ…そっか。
それなら思い当たる節がある。
「オレ、今日は大事な会議があって外せねーから、もう会社に行くな?」
「うん。あたしのことは心配しなくていいから。だからお仕事頑張って?」
「帰りにまた寄るから。大人しくいい子にしてろよ?」