旦那様は社長 *②巻*
あたしが眠れないのは悠河のせいなんだから、きちんと責任をとってもらうおう。
――…悠河の安眠を妨害してやる。
あたしは悠河の頬にキスをしたり……ツネったり……耳元で名前を呼んでみたり……ありとあらゆる手段をとった。
だけど……
「起きない」
やっと最近になって、“社長”じゃなく“悠河”って名前で呼べるようになった。
……正しくは、訓練させられた。
だけどまだ、どこかぎこちなくて、照れ臭くて。
初々しくてお気に入りらしい、あたしの“悠河”って呼ぶ声には、どんな時でも必ずピクッと反応してくれるのに……。
あたしはジーッと悠河の寝顔を見つめた。
相変わらず見惚れるくらいキレイな顔。
皆に騒がれるのも、今なら納得できる。
だけどこんなに反応してくれないと……
「……つまんない」