旦那様は社長 *②巻*

あたしが眠れないのは悠河のせいなんだから、きちんと責任をとってもらうおう。


――…悠河の安眠を妨害してやる。


あたしは悠河の頬にキスをしたり……ツネったり……耳元で名前を呼んでみたり……ありとあらゆる手段をとった。


だけど……


「起きない」


やっと最近になって、“社長”じゃなく“悠河”って名前で呼べるようになった。

……正しくは、訓練させられた。

だけどまだ、どこかぎこちなくて、照れ臭くて。


初々しくてお気に入りらしい、あたしの“悠河”って呼ぶ声には、どんな時でも必ずピクッと反応してくれるのに……。


あたしはジーッと悠河の寝顔を見つめた。


相変わらず見惚れるくらいキレイな顔。

皆に騒がれるのも、今なら納得できる。


だけどこんなに反応してくれないと……


「……つまんない」


< 13 / 409 >

この作品をシェア

pagetop