旦那様は社長 *②巻*
明日からあたしたちは1週間のハネムーン旅行へと旅立つ。
行き先は、いつかハネムーンで行ってみたいと思ってたボラボラ島。
「ねぇ悠河。あたしね?すっごくドキドキしてるの。初めて2人で行く旅行だよ?……憧れの場所に旦那様と行ける日が来るなんて思わなかったな……」
悠河と出会う前の婚約者に、一方的に婚約破棄された時は、二度と結婚しないって思ってた。
「今頃何してるんだろ……敬吾……」
佐倉敬吾。
ーー…あたしを捨てた男。
一瞬彼の顔が頭に浮かび、突然不安に襲われたあたしはギュッと悠河の首にしがみついた。
「悠河は敬吾みたいに……あたしを捨てたりしないでね?」
瞼の閉じられた悠河を見つめながら囁くように言った後、そっと悠河の唇に自分の唇を重ねた。
どうしてこんなに不安になっちゃったんだろう?
あたしはこんなに大事にされてるのに……。
唇を離そうとすると、グッと後頭部を押さえられた。
「……っ!?」
「なんだよお前。夜這いか?」
夜這いって……
悠河じゃあるまいし……
反論しようと口を開きかけると、そのまま舌をねじ込まれてしまった。