旦那様は社長 *②巻*
敬吾の視線を感じた。
でもあたしは怖くて俯いたまま、顔を上げることができない。
胸の鼓動が異常に速まる……。
この気まずい空気を断ち切ったのは藤堂さんだった。
「佐倉~、お前何言ってんだよ?光姫ちゃんはなぁ、このエロ社長の奥さんなんだぜ?」
ありえねー……と、1人ゲラゲラ笑いながら「なぁ?」とあたしと社長に同意を求めた。
「………」
「……あれ?」
無反応なあたしと社長に、藤堂さんが「ああー…れ?」と声を裏返しながら、気まずそうに首の後を掻いている。
「え、あの、冗談……だよな?」
藤堂さんの日焼けした顔が、どんどん青くなっていくのが分かる。
ダメ……
ここで否定しなきゃ。
ーー社長に怪しまれる。
「ちがっ」
「何言ってるんですか?藤堂さん」
……!?
敬吾があたしの声を遮った。