旦那様は社長 *②巻*
■第7章■過去との決別。
藤堂さんと敬吾が日本に来てから数日が経過した。
社長の意図した通り、あたしの妊娠の事実を知る人が近くにいることは、今まで感じていた精神的ストレスを少し軽減してくれていた。
それは、藤堂さんがその外見の軽さとは裏腹に、とても細かい気遣いができて、あたしの負担を軽くしようと動き回ってくれているから。
「光姫ちゃん、今貧血っぽいでしょ?顔、青いよ。これはオレが営業部に持ってくから、ちょっとソファーで横になってな?」
「えっ、でも……」
「でもじゃない!!」
副社長にそんなこと頼めません……そう言いかけたあたしの言葉をピシャリと遮る。
「すみません、本当に何から何まで……」
藤堂さんには助けられっぱなしで、すっかり頭が上がらなくなってしまった。
申し訳なさげに肩を竦めて俯くあたしの頭をポンポンと叩き、藤堂さんはニヤリと笑う。
「その代わり……」
「えっ?」
まさか……あたしに手を出す気じゃ!?
体全体に力が入る。
「ぷっ。そんな身構えなくても光姫ちゃんに手ぇ出したりしないから、オレ。安心して?」
そんなことしたら、悠河にマジでナイアガラの滝に沈められる……なんて笑いながら、あたしの不安を払拭した。
「じゃあ、その代わり……の続きって何ですか?」