旦那様は社長 *②巻*
自分でも驚いてる。
あたしって、こんなキツイこと言える女なのかって。
でも、これくらい言っても、あたしはきっと許されるよ。
だって彼は、それだけのことをしたのだから。
あたしと敬吾は瞬き一つすることなく、ただジッとお互いを見据えた。
もしかすると、今のあたしはそうとうキツイ顔をしているのかもしれない。
……睨んでいるかもしれない。
だって敬吾は、さっきあたしの名前を呼んだ時と打って変わって、傷ついたような表情をしているから。
でも、あの時傷ついたのは、敬吾じゃない……あたしなんだ。
「……何とか言ったら?昔の恋人に、結婚おめでとうくらい言えないの?」
今のあたし、最低な女だと自分でも思う。
敬吾の話なんて聞かずに、一方的に気持ちをぶつけてる。
今のあたし……醜い……
気がついたら、自然とお腹に手をのせていた。
赤ちゃんに、こんな最低なあたしの言葉を聞かせたくなくて……。
そんなこと分かってるのに、遠い過去に忘れたはずの怒りが鎮まることはなく、あたしの興奮は収まらない。