旦那様は社長 *②巻*
怒りだけじゃない……
悲しみも一緒に込み上げてくるのはどうして?
今のあたし、幸せなはずでしょ?
敬吾との過去なんて、とっくに忘れたはずじゃない。
それなのに……
動揺なんてしないでよ。
必死に自分に言い聞かせた。
敬吾に動揺してる姿なんて、見せたくない。
「オレを憎んでるのはよく分かったよ。でも光姫……オレの話、聞いてくれないか?」
「いや……今更何の話があるって言うの?」
「あの時のこと……オレが今ここにいるワケ……やっと全部話せる時が来たから」
「……聞きたくない」
あたしは両手で耳を塞いだ。
イヤ…イヤだ……
キキタクナイーー……
あの時の、とてつもなく悔しくて苦しい気持ちなんて、もう二度と思い出したくない。
「聞きたくない……」