旦那様は社長 *②巻*

敬吾のあまりにも勝手な言いぐさに、あたしの中で何かがプツンと切れた。

鋭い目つきで、敬吾の顔を睨みつける。


「いい加減にして!!もう今のあたしは、あの時とは違う。……モヤモヤしてる?あたしが?冗談じゃない。あたしは今幸せだし、未来に曇りなんてまったくない!!」


再び感情剥き出しのあたしを冷静に見据えて、敬吾は口を開いた。


「……変わってないな、光姫。お前はさ、昔から本音を隠す時はそうやって感情的になってたよ」


「……っ、そんなことない。あたしのことなら何でも分かってるような言い方は止めて」


「分かってるから……実際ね。何年付き合ったと思ってんの?オレたち」


「さあ……」


知らないフリをした。


そんなあたしを、敬吾は余裕の笑みを浮かべながら見ている。


その顔が、余計にあたしの苛立ちを増加させることに繋がるのだけど……。


「オレはさ、お前が何て言おうが今もずっとお前だけを想ってるよ。あの時、お前の前から姿を消した後も、他の女となんか付き合ってないし、ずっとオレの中にお前がいた」


そう言うと敬吾は、愛しいものを見つめる時のような優しい目をしながら、あたしの頬に手をのばした。


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