旦那様は社長 *②巻*

「最初から光姫の答えは分かってた。でも、もし光姫がここで答えに迷ったら、このまま連れ去ろうと思った」


ニッコリ微笑む敬吾は、何かが吹っ切れたように見えた。


「ありがとうは……こっちだよ敬吾……」


箱の中身は空。

敬吾は最初からあたしの答えを知ってて……
分かっててもう一度あたしにプロポーズしてくれた。

あたしを今でも変わらず愛してるって伝えるために。

あたしを……過去の呪縛から解放するために。


「最後はオレ、かっこよく決まった?」


「かっこよすぎだよ……」

敬吾を愛して本当によかった……敬吾に愛されて本当によかった。


これでやっと、全てが終わる。

敬吾もあたしも、前に進んでいける。


「幸せになれ、光姫」


「……敬吾も」


あたし、悠河とこの子と3人で幸せになるから。

だから敬吾も、幸せになって。


「できれば光姫は、オレが幸せにしたかったけど」

「きっと……あたし以上に幸せにしたいって思える人が、すぐ現れるよ」


「……だといいけどな」


大丈夫だよ。
敬吾はいい男だから。


一度は愛した大切な人。

だから幸せになってもらいたい。

敬吾が幸せになった時、初めてあたしも心から幸せになれる……そんな気がする。


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