旦那様は社長 *②巻*

「なんで黙ってる?」


「……ごめん」


「それは何に対する謝罪だ?」


「悠河?」


どうしたの?

なんか、今日の悠河……すごく怖い。


「悠河こそ、接待はうまくいったの?」


「オレの話はいんだよ。光姫、今までどこで何してた?」


向き直った悠河の目がすごく冷たく感じて、思わず身が縮こまる。


「敬吾とホテルで食事してた」なんて、とても言える雰囲気じゃない。


「どうした?言えないのか?」


これ以上、こんな冷たい悠河を見たくなくて、とっさにウソをついてしまった。


「あっ、あのね。帰り道でバッタリ大学時代の友達に会ってそれでご飯食べながら話し込んじゃって……ごめんなさい」


このウソが、あたしたちをバラバラにしてしまう引き金になることも知らずに。


本当は目を逸らしたくてたまらなかったけど、ずっと悠河を見つめ続けた。

ウソが、バレてしまわないように。


悠河に余計な心配をかけないように。


過去をもう、乗り越えることができたから。


後は悠河とあたしと、この子で未来を築いていくだけだから。


未来に何の障害も与えない過去なら、全てをさらけ出す必要なんてないよね?


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