旦那様は社長 *②巻*
「友達って、女?」
「当たり前じゃん!!」
「……そうか」
安心してくれると思ったのに、悠河は寂しそうに俯いた。
ーーー…悠河?
「早く風呂入ってこい。風邪ひくだろ?」
「あ、うん……」
こうして体を気遣ってくれるのはいつもと変わらない。
だけど、今日の悠河は明らかにおかしい。
いつもと違う。
何かあったのかな……。
立ち尽くしたままのあたしに悠河が気づいた。
「何やってんだ?一緒に入りたいのか?」
「ば、バカッ!!」
「ほら、早く行け」と笑う悠河にホッとしながらも、やっぱり少し違和感を感じる。
いつもならこのまま本当に一緒にお風呂に入ってくるのに。
今日の悠河はどこか遠くを見つたまま、動こうとしない。
「悠河、何かあった?」
「いや」
「そっか。じゃあお風呂、入ってくるね」
悠河のことが分からなくなったのは、この時からだ。
これが……
あたしたちの心のすれ違いの始まりだった。