旦那様は社長 *②巻*
――トクントクン
悠河の規則正しい鼓動があたしの緊張を少し和らげていく。
「まるで赤ちゃんみたい……あたし」
「赤ちゃん?」
「うん。だってこの胸の音を聞くといつも安心するんだよね」
ほら……
赤ちゃんって母親に抱かれて胸の鼓動を聞くとスーッと眠るじゃない?
今のあたしがまさにそんな感じなんだよね。
そっと目を閉じてみる。
あ…今なら眠れそう……このまま……
そう思えるくらい、身体がフワフワしてきた。
気持ちいい……
だんだんと意識が遠のいていく。
あ、落ちる……
そう思える瞬間があった。
…………………………………………………………………………「チュッ」
「?」
「チュッ…チュッ……」
……なんかこそばゆい。