旦那様は社長 *②巻*
幸せすぎる感覚に浸っていた。
できることなら、このまま意識を手放してしまいたかった。
それなのに……
「やべ」
「……え?」
あなたはやっぱり『悠河』なんだね。
「どうしたの?」
「あのさ……」
「うん?」
少し汗ばんだ男らしい身体に、キュッと腕を絡ませた。
「久しぶりだからか、オレ……」
「何?」
悠河が恥ずかしそうに俯きながら言った、衝撃の一言は……。
「もぉイキそ」
「……はッ!?」
その瞬間、身体の力が抜けて、ズルッとあたしの腕が滑り落ちた。
今のって、つまり……
「……ッ!!あ、ありえない!!バカッ!!」
こっちの方が恥ずかしい!!
第一、まだ1つになっていないのに!!
両手で顔を覆いながら「バカバカ」と言い続けるあたし。
悠河はそんなあたしの手を掴み、真っ赤な顔で見下ろしている。
「悪い。そろそろ赤ちゃんに……『パパだよ』って……挨拶していい?」
言った本人も、相当恥ずかしかったらしい。
顔だけじゃなく、全身が赤くなってきた。