旦那様は社長 *②巻*
「ねぇ、悠河?」
あたしが名前を呼んだ瞬間、ピクッと悠河の手が動いた。
たぶん照れてる。
今まで出したこともないような、とびきり甘い声で呼んだから。
悠河の左手にゆっくり自分の右手を絡ませて続けた。
「悠河ってば」
またピクンって反応。
やばい、超可愛いッ!!
声に出さないように必死に笑いを堪えるあたしにとうとう悠河が気づいた。
「お前……わざとか!?」
「んー?何が?」
「何がって……」
悠河の顔が赤い。
いくら怒っても、その顔じゃ説得力ないよ?
「あんまりオレで遊ぶな」
顔を反対側に逸らしながら言った悠河の肩に、わざと頭を預けた。
「おまッ!!言ってる側から……」
「いいじゃない。新婚旅行なんだし」
「……ッ」
「悠河?」
「……バカ」
勝った、悠河に。
耳まで赤く染めながら、悠河は振り向くとあたしにキスをした。