旦那様は社長 *②巻*
「スケベな悠河のせい」
悠河がこんなあたしに変えたんだから。
たったこれだけの言葉で全てを理解した悠河は、フッと笑いながらあたしの首筋にキスをした。
「褒められてる?オレ」
「……バカ」
悠河の作り出す空気が、今まで以上に甘くなったように感じるのは気のせいかな。
結婚当初からスケベであることに変わりはないけれど。
だけど、甘いだけじゃない。
なんだかドキドキの中に、ほのぼのとした温かさも加わった気がする。
とても心地いい空気──…
あたしの首筋に顔をうずめたままの悠河の頭をそっと撫でると、すぐにその手を掴まれた。
「悠河?」
そのまま顔を覗き込んだ途端、重なった2つの唇。
あたしの口内をさ迷う悠河の舌を、必死で追いかける。
「光姫……」
吐息混じりの熱い声で名前を呼ばれた時には、あたしの理性もどこか遠くへ飛んでいた。
持っていた菜箸を床に落としたことも忘れて、夢中で悠河に応える。
今までの最長記録を更新したんじゃないかというくらい、長い長いキス。
「…んッ」
そのうち悠河の唇は鎖骨を這い、胸元へ差し掛かった時、チクリと痛みを感じた。
ピクンと震えるあたしの身体。
その反応に満足したのか、悠河の顔が一瞬ニヤけた。