旦那様は社長 *②巻*

「スケベな悠河のせい」


悠河がこんなあたしに変えたんだから。


たったこれだけの言葉で全てを理解した悠河は、フッと笑いながらあたしの首筋にキスをした。


「褒められてる?オレ」

「……バカ」


悠河の作り出す空気が、今まで以上に甘くなったように感じるのは気のせいかな。

結婚当初からスケベであることに変わりはないけれど。


だけど、甘いだけじゃない。

なんだかドキドキの中に、ほのぼのとした温かさも加わった気がする。

とても心地いい空気──…


あたしの首筋に顔をうずめたままの悠河の頭をそっと撫でると、すぐにその手を掴まれた。


「悠河?」


そのまま顔を覗き込んだ途端、重なった2つの唇。

あたしの口内をさ迷う悠河の舌を、必死で追いかける。


「光姫……」


吐息混じりの熱い声で名前を呼ばれた時には、あたしの理性もどこか遠くへ飛んでいた。

持っていた菜箸を床に落としたことも忘れて、夢中で悠河に応える。


今までの最長記録を更新したんじゃないかというくらい、長い長いキス。


「…んッ」


そのうち悠河の唇は鎖骨を這い、胸元へ差し掛かった時、チクリと痛みを感じた。

ピクンと震えるあたしの身体。


その反応に満足したのか、悠河の顔が一瞬ニヤけた。


< 280 / 409 >

この作品をシェア

pagetop