旦那様は社長 *②巻*
だけど、甘かった。
悠河は色っぽい微笑みを浮かべて、“悠河らしい”言葉を口にした。
「『パパすごぉーい!!』なんて、美姫がビビるかもな」
「……」
「ママはパパのコレが大……ッてぇーッ!!」
続きの言葉が安易に想像できて、思いっきり悠河の頭を叩く。
「美姫が変態になったらどうしてくれんの!!」
娘が変態だなんて……
頭の中で、女版悠河の姿が思い浮かぶ。
ダメ……
将来絶対にお嫁にいけない!!
頭の中でグルグル妄想していると、悠河の穏やかな視線に気づいた。
「……何?」
悠河はもう一度フッと微笑んだ後、あたしの頭を一撫でして言った。
「その気になってんじゃん」
「何が?」
「マジで『美姫』でいいわけ?」
「え……」
そう言えば、すっかりお腹の赤ちゃんは『娘』の気でいた。
確実に悠河の影響で。
「いいじゃん、もう。こんだけ『美姫』『美姫』連発してたら、お腹の子供が男でも、そのうち女に変わんじゃね」
「なわけないし!!」
「オカマになったりしてな」
ケラケラと楽しそうに笑う悠河。
あたしはちっとも笑えないというのに……。
「光姫、そろそろオレ限界」
悠河自身を受け入れながら、赤ちゃんの性別が分かったらすぐに聞こうと、頭の中でボンヤリ思った。