旦那様は社長 *②巻*

だけど、甘かった。

悠河は色っぽい微笑みを浮かべて、“悠河らしい”言葉を口にした。


「『パパすごぉーい!!』なんて、美姫がビビるかもな」

「……」

「ママはパパのコレが大……ッてぇーッ!!」


続きの言葉が安易に想像できて、思いっきり悠河の頭を叩く。


「美姫が変態になったらどうしてくれんの!!」


娘が変態だなんて……


頭の中で、女版悠河の姿が思い浮かぶ。

ダメ……

将来絶対にお嫁にいけない!!


頭の中でグルグル妄想していると、悠河の穏やかな視線に気づいた。


「……何?」


悠河はもう一度フッと微笑んだ後、あたしの頭を一撫でして言った。


「その気になってんじゃん」

「何が?」

「マジで『美姫』でいいわけ?」

「え……」


そう言えば、すっかりお腹の赤ちゃんは『娘』の気でいた。

確実に悠河の影響で。


「いいじゃん、もう。こんだけ『美姫』『美姫』連発してたら、お腹の子供が男でも、そのうち女に変わんじゃね」

「なわけないし!!」

「オカマになったりしてな」


ケラケラと楽しそうに笑う悠河。

あたしはちっとも笑えないというのに……。



「光姫、そろそろオレ限界」


悠河自身を受け入れながら、赤ちゃんの性別が分かったらすぐに聞こうと、頭の中でボンヤリ思った。


< 282 / 409 >

この作品をシェア

pagetop