旦那様は社長 *②巻*
あたしも悠河も、今は美姫だけを想っていたい。
きっと美姫だって、まだ完全に空に帰れてはいないと思う。
『ママ、パパ、大丈夫?』
あたしたちがこんなだからきっと、度々神様の目を盗んで、あたしたちの側に来ているんじゃないかって……
なぜかそう思ってしまうんだ。
夢の中に美姫が現れる時はきっと、すぐ側であたしを見守ってる。
だって悠河の子供だから。
優しい心を受け継いだ子供だから……。
あたしと悠河が本当の意味で乗り越えられたら、
きっと美姫も、空で幸せに暮らせる。
悠河もあたしも、そして美姫も。
皆に幸せが訪れたら……
きっとまた尊い命を、神様が授けてくれる。
『今度こそ、2人で守り抜きなさい』
そう優しく笑って。
「諦めるか」
「……え?」
「いや、有栖川のトップに立つこと」
「何言って」
「今は……光姫がいれば……他にはもう──」
悠河が完全に自分を見失い始めてる。
だけどあたしは知ってる。
悠河の決意がどれ程のものだったか。
だから……