旦那様は社長 *②巻*
「申し訳ありません!ご挨拶にもお見舞いにも伺わず。あの、私……」
「いいのよ、気にしないで?どうせ悠河が何も言わなかったんでしょ?」
「でも私が……ちゃんと、聞いていれば……」
「光姫さん、あまり固くならなくていいのよ?私はね、いつだってあなたの味方だから」
「え……?」
「さぁさぁ、2人とも座ってちょうだい。今日あなたたちを呼んだのは他でもない、私なんだから」
「え!?会長ではないんですか!?」
確かに会長の秘書から連絡を受けたはずなのに……。
「私がこの人の秘書に頼んだの」
「勝手に人の秘書を使いおって……」
ボソッと呟いた会長の言葉に素早く反応して、
「あなたは黙ってなさい!」
タマコさんはたった一言で会長を黙らせた。
す、すごい……。
あの会長を止められる人がこの世に存在していることが奇跡だと思う。
目の前の光景に圧倒されながら、あたしと社長は会長とタマコさんの向かいのソファーに座った。
同時に家政婦さんがコーヒーを運んできてテーブルの上に並べる。
あたしはそれを静かに見つめながら、タマコさんがあたしたちを呼んだ理由を考えていた。