旦那様は社長 *②巻*
「今日あなたたちに来てもらったのはね、先日の悠星の暴言の数々を本人に詫びさせるためなの」
「え……」
あの会長が、あたしたちに……侘びを?
あの日会長が会社に乗り込んできた時まで、あたしはずっと会長に気に入ってもらえていると思っていた。
普通ならぜったい許してもらえないはずのあたしと悠河の結婚。
だけどそれをあっさり認め、むしろ嫌がる本人たちを一切無視して無理矢理結婚させたのは会長だから。
だけどあの時、それはあたしの勘違いだと思い知った。
きっと初めから会長にとって、あたしなんて眼中にないんだということを。
会長が興味あるのは、あたしと悠河の間に生まれてくる子供だけ。
その証拠に、大切な曾孫を守れなかったあたしを見つめるその瞳は、身体中が瞬時に凍ってしまいそうになるくらい冷ややかなものだった。
「タマコさん」
悠河の声にハッとして意識を現実に引き戻す。
「会長が光姫に詫びるのは当然だと思います。先日の言葉は、光姫の心を深く深く傷つけました。はっきり言って、私は悲しくなりました。自分が彼の孫であるということを」
今度は悠河が会長に鋭い視線を投げかける。
会長はそれを全身に感じているのか、一度も顔を上げることなく静かに耳を傾けていた。