旦那様は社長 *②巻*
やばい。
やばいよッ!
完全に悠河が切れてるよ!!
『藤堂さん逃げて!』
そう心の中で叫んだと同時に、
「お前が乗っていいのはオレの上だけだ!」
とんでもない言葉が悠河から降ってきた。
あたしの全身がカッチコチに固まってしまったのは言うまでもない。
「慎也。お前、しばらく耳塞いでろよ」
「は?なんで?」
「お前に光姫の声を聞かせたくないからだ」
「あー、そういうこと。分かった。オレ、一回マンションに帰ってシャワー浴びてくるから。ごゆっくりー」
藤堂さんはあたしたちに手を振って社長室を出て行った。
その後姿を見送って、悠河は無言のまま椅子に腰掛ける。
そしてあたしをストンと悠河の膝の上に座らせた。
「お前、分かってんだろうな」
「へ……」
「『へ』じゃねーよ。よりによって、慎也の上にまたがるなんて」
「ま、またがるって!あれは故意じゃなくて、事故だもん!」
ただ藤堂さんを起こそうとして倒れただけだもん。