旦那様は社長 *②巻*
だからあたしも、社長の威厳を保つのに相応しい秘書になってみせる。



でも社長は……



「やだ」



「………」



はい?


今、何て言いました?




社長はムスッとした表情で、イスに足を組んで腰掛けていて。


「イヤだっつってんだよ。お前はオレの妻だ。家だろうが会社だろうがそれは変わらない」


「それはそうですけど……」



あたしが言いたいのは、そうじゃなくてーー…




「それにお前は“葉山”じゃない。“有栖川”だ。何を考えてるのかは知らないが、オレは公私混同しているとは思ってないぞ? 名前で呼ぶ以外は、お前への仕事の振り方は変えていないからな」


最近では珍しく真剣な面持ちで口を開いた社長。



確かに……



あたしへの仕事の振り方は、何一つとして変わっていない。


< 56 / 409 >

この作品をシェア

pagetop