旦那様は社長 *②巻*
ーー離…婚…。
あたしの頭の中をこの2文字がグルグル回る。
「会長、いい加減にして下さい!!私は光姫と別れるつもりはありません」
社長も完全に熱をあげてしまった。
でもあたしだって……
社長と別れたくない。
「悠河、勘違いするでない。ワシは何も光姫さんが憎くて言ってるわけじゃない」
「…っ、じゃあ!!」
「じゃが。しきたりに従えぬと言うなら話は別じゃ。有栖川は由緒正しい名家。有栖川の人間がしきたりを守るのは当たり前のこと」
「分かっています!!しかし…」
会長の言うとおり…有栖川家はしきたりを重んじる名家。
あたしだってそれは理解してるつもりだけど。
……頭で分かっていても心が納得できない。
こんなあたしは
有栖川の嫁として…既に失格なのかもしれない。
あたしは膝の上で両手をギュッと握りしめた。
「会長。私と社長が離婚したら…社長は…別の方と再婚する…ということですか?」
「光姫!!オレは離婚なんてしない!!」
社長は、あたしの目を真っ直ぐ見つめて言い放った。