旦那様は社長 *②巻*
瞬きもせず。
ただ視点をどこか一点に合わせて…まるで魂が抜けたみたい。
そんなあたしの手は、
社長によって持ち上げられる。
「本気だ…こうするしか他に方法はない…」
あたしの手に優しくキスをしながら、社長が口を開いた。
少し弱々しくて。
囁くような…小さな声。
でもあたしには受け入れがたい、耳を疑うような事実。
社長はあたしの気持ち、分かってくれてると思ってたのにーー。
「…なんでよ…そんな義務みたいに子供なんて作りたくないっ!!」
あたしの中で何かがプツンと切れた瞬間だった。
「どうしてあんなこと言ったのよ!?あたしイヤだって言ったじゃない!…イヤ…絶対にイヤっ」
気づいた時には、社長の手を振り払って詰め寄っていた。
そんなあたしを社長は冷静に…黙って見つめる。
「今…赤ちゃんなんて…無理だからっ…ック…」
分かって?
……ねぇ、分かってよ?
「…うぅ…っ…」
広い社長室に、あたしの啜り泣く声だけが響く。