旦那様は社長 *②巻*
そんなあたしを
社長はグッと広い胸に抱き寄せた。
そして……
優しくあたしの背中に手を廻し、耳元に顔を近づける。
「光姫…ごめん…分かってくれ…オレ…お前と別れたくない。他の女なんて…いらない…」
途切れ途切れに、あたしの耳元で囁く社長。
あたしだって…別れるなんてイヤに決まってる。
だけどーー。
「光姫…オレはお前と一緒にいたい。子供を作ることが…お前と一緒にいられる唯一の方法なら…オレはそれを実行するだけだ…」
「…っ、でもっ…」
「お前はっ!!…オレと別れたいのか?」
「そんなわけない!!」
そんな今にも泣きそうな声…反則だよ…。
あたしは社長からゆっくり体を離した。
「光姫。今はまだオレには何の権限もない…でもオレが総帥になれば…しきたりなんて変えてやる。だからオレを信じろ」
「社長……」
「ごめんな…光姫。お前には普通に嫁ぐよりも余計な苦労をかけてるな」