旦那様は社長 *②巻*
「…何だよ…何が…ごめんなんだ…?」
社長のーーー
……声、あたしの肩に置かれた手、それらが小刻みに震えていた。
「なあ、光姫!!」
あたしの肩を、震える手で何度も揺する社長。
そんな社長をあたしは直視できなくて。
ただ、俯くことしかできなくてーー。
「オレから…離れてくつもりか?」
「……そんなわけない。今更離れられないよ…」
社長に聞こえるくらいの小さな声で答えた。
「あたし…有栖川に嫁ぐって意味を…全く理解してなかったの。ルールにも従えない…こんなあたしに、社長の妻が…務まるの?」
きっとこれからもあたしは、有栖川の常識についていけなくて……悩む時が来るよ?
「そんなあたしが、ただ好きの気持ちだけで……あなたの側にいていいの…かな?」
あたしは真っ直ぐ社長の目を見つめる。
涙に滲んだ…潤んだ瞳で。
でも、今思ってる素直な気持ちをぶつけた。
そんなあたしをしばらく眺めていた社長は、ゆっくりと顔をあたしに近づけ……
唇が触れるギリギリのところで止めた。