旦那様は社長 *②巻*


「オレはお前がいないともう生きていけない。お前がいない毎日なんて…死んでんのと変わんねーよ」


「…ふっ…大袈裟……」


「本気だ。オレ、お前の不安…すげー分かるよ。でもそれは絶対に避けて通れない道なんだ」


「……うん」


「でもな?オレたちは何も変わらないから。これからもずっと…」


「……どうして?」


「オレがトップに立った時、有栖川の未来が変わるからだ」


…未来が…変わる?


「何百年も前に作られたしきたりをいつまでも忠実に守る必要なんてない。…そんなモノに縛られてるうちは、有栖川は衰退していくだけだ…」


“衰退”……あたしには難しい話はわからない。

でも社長が言う通り、伝統を重んじるばかりにそれに固執するのは……
身を滅ぼすことに繋がるかもしれない。


「信じていい?」


ーー本当に有栖川を変えてくれる?


社長は答えの代わりにキスを落とした。


「……お前といるためなら何だってやるさ」



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