旦那様は社長 *②巻*

あと半年しかないというプレッシャーに加え、新たに生まれた社長との夜の悩み。

仕事の面でも、“有栖川の嫁”として公の場に立つことが多くなった。


有栖川家に恥じないように。

社長の格を下げることがないように。


公の場に出た後は、もうぐったりしていてそのままベッドに倒れ込んでしまう。


それくらい、全神経を使っている。

今のあたしは。


そんな夜は、社長の相手をする余裕なんてなくて。

「今日は無理……」

って断る。


でも社長は「いいから、いいから」と言いながら、あたしの首に顔を埋めていく。


そしてそのまま……
流されるんだ。



ぐったりと力が抜けたあたしの側で、スースーと規則正しい寝息をたてながら、子供のような寝顔をこちらに向ける社長。


少し前のあたしなら、それが嬉しくてたまらなかったのに。

今のあたしには、その寝顔が少し恨めしく思えてしまうことさえある。


今思えば

この頃から……


あたしたちは少しずつすれ違い始めていたんだと思う。


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