旦那様は社長 *②巻*
「お前ほんとに顔色悪いぞ?会議は他のヘルプを頼むから、お前はもう帰ってゆっくり休めよ…」
「そんなことできるわけないじゃない。これも秘書の仕事の内なんだから」
あたしがここで休んだりすると、周囲に何を言われるか分からない。
「社長夫人になったから」とか、「社長が私情を持ち込んでるから」とかーー。
そんな噂をたてられたくない。
だって……
あたしは努力してるもの。
社長秘書の仕事だって、結婚前とは何一つ変わっていない。
手だって抜いてない。
“玉の輿にのって苦労しなくていいから”
なんて思われたくないの。
あたしはそんな気持ちで仕事してないから……
それなりにプライド持ってるつもりだからーー。
だから……
「帰らないよ」
社長があたしを心配してくれてるのは分かるけど、あたしは手は抜かない。
ううん…抜いちゃダメなんだよ。
有栖川の名に、傷をつけないためにもーー…
しばらくの間
黙ってあたしを見つめていた社長は、ゆっくりと口を開く。
「お前…最近頑張りすぎじゃないか?」