旦那様は社長 *②巻*
そして……
ゆっくり椅子から立ち上がり、あたしの方へ歩いてきた。
「頑張んなきゃ…有栖川家の嫁として認めてもらえないじゃない」
社長はあたしの目の前で歩みを止め、右手をそっとあたしの頬にのせた。
そして、ゆっくりとその手を滑らす。
「顔色…ほんとに悪いぞ?お前最近あまり食べないし…今朝だって…吐いてただろ?」
……見られてたんだ。
最近……
本当に体調が悪い。
精神的ストレスと睡眠不足のせいか、貧血気味で……食欲もまったくない。
何か口にしても、カラダが受け付けてくれなくて…すぐに吐いてしまう。
「お前…今のままじゃ、いつかぶっ倒れるぞ?」
「…そう思うんだったら…夜は少し控えてくれてもいいんじゃない?あたし…ほんとに倒れちゃうかもよ?」
頬におかれた手をゆっくり離しながら、あたしは社長に訴えた。
間違いなく、あたしの疲労に拍車をかけているのは……社長だから。