旦那様は社長 *②巻*
キスで熱を計られていたら…余計に熱が上がってしまう気がして──。
……もちろん社長は納得していないんだけど。
「鳴らねーな……」
社長があたしの頭を撫でながら、まだ鳴らない体温計に不安を覗かせる。
でも確かに……
そろそろ鳴ってもおかしくない。
そんなに熱あるのかな?
あたしも不安に思い始めた頃。
──ピピピピッ
体温計が鳴って、慌てて社長が体を乗り出した。
「何度?」
体温計の表示を見ながら固まるあたしに、社長が早く早くと急かす。
「…38度5分」
「はっ?!」
社長は慌ててあたしの手から体温計を抜き取ると、ディスプレイを何度も確認する。
「…ふっ…何回見たって同じでしょ?」
あたしのおでこに手を当てながら、何度も体温計とあたしの顔を見比べる。
そんな社長がなんだかおかしくて、あたしの顔は笑顔に変わった。