線香花火
最悪な夏の始め方
きっと、意味なんてない。
そう思いたくても、あたしのこころはそれを拒絶する。
意味がないわけがないって、ほんとうは、もう既に。
ずっと前から気づいているから。
──それなのに、また。
目の前を立ち去る影に、あたしは小さくため息をついた。
これで何度めだろう、フられたのは。
好きになったのも、勝手に幻滅したのもあっち。
あたしのことなのに、全てがあたしの知らない処でまわっている。
他人中心な感覚が、なんだかあたしじゃない誰かを見ているようで、少しだけ、ぞくりとした。
だって、そこにあたしはいないみたいだ。
けどそれは、あながち間違ってもいない。
あたしのこころは1年前の夏のあの日に、置き去りにしたままだから。