線香花火
囚われた夏祭り
どさっと何かのぶつかった感触に、身体を起こした。
──翌朝。
「なに起きてたのー?」
どんな反応を狙っていたのか、サユリちゃんが面白くなさそうに言う。
起きてたかって言われれば、確かに5分前には目は覚めていたけれど。
「……おはよ」
とりあえずそれだけ言って、すぐそばに落ちていた枕を拾い上げた。
どうやら、ぶつけられたのはこれみたいだ。
もとの場所に戻そうと立ち上がる。
と、ぱさりとまた何かがぶつけられた。
「何これ」
柔らかい、ピンク色。
突如顔面を被ったそれを落とさないようにと、枕で夢中で抱き止めた。