線香花火


──お祭りは。

賑やか、だった。


その熱気に、喧騒に、目眩がしてきそう。

あたしは、サユリちゃんの後を迷子にならないよう歩いていた。


ちなみにおばあちゃんは、いってらっしゃい、と、台所で洗い物をしながら見送ってくれた。

そして1000円おこづかいをくれた。


「とりまかき氷でも買う?」


並ぶのがあまり好きじゃないらしく、一通り歩きまわって、結局最初にいたかき氷の屋台の前に来てサユリちゃんは言った。

お祭りなんだから、混んでいるのは仕方ない。

にもかかわらず、サユリちゃんはあたしと同じで人混みが苦手らしい。


──あれ?

だったら何で“行こう”って……。

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