線香花火
それでも動くのも面倒で、あたしたちは何とはなしにそこにいた。
暫しの沈黙。
ふいにサユリちゃんが口を開いて、言及されたのはあたしの、時々見せた暗い表情。
自覚すらなかったけども、気付かれていたみたいだ。
これじゃ、“何かある”のはバレバレだ。
けど、言えないんだ、去年のこの日のあの賭けのこと。
だってツライしバカみたいだし、何より恥ずかし過ぎるから。
自分の浅はかさも、強がって弱さを隠している処も。
今考えれば滅茶苦茶で、笑うしかない言動も、ただ、本気で、必死だった。
そう、自分だけなら笑えるけれど、でもこれを、他人に聞かせるとすると。
……その場から消えたくなる、間違いなく。