線香花火
よけいすれ違いやすくなるのだから、よせばいいのに、あたしはサユリちゃんを探すことにした。
そうして歩いていると、ヨウちゃんにまた会った。
屋台の手伝いは終わりらしい。
「ひとり? さっきのキレイなおねーさんは?」
いかにも純粋に、疑問をそのまま口にしたような彼女につい微笑みながら、
「はぐれたっぽい」
と答えると、じゃあ探さなきゃね、となぜだか弾んだ声で言われた。
人探しって、わくわくしない? ──そう言うヨウちゃんの感覚に、いまいちついてけないあたし。
そして唐突に彼女は、
「そのヨーヨー、可愛い」
と、あたしの右手を見つめて、言った。