線香花火

「これ?」

右手を軽く持ち上げる。

頷いたヨウちゃんに、取ったげようか、と言うと、彼女は目を見開いて、いいの? と笑った。


オレンジのがいい、と言うから、絡まった糸の中からそれに繋がるものを探して、そっと針金を引っかけた。

ゆっくり水から引き上げる。


「すごい! ありがとー」


子供のように無邪気に喜ぶヨウちゃんを見て、あたしもほわっと温かい気持ちになった。

なんか、和む。


それからさんざん、ヨウちゃんに振り回され、サユリちゃん探しの名目で歩きまわったけど、何でかイヤな感じはなかった。

久々の再会で、やっぱテンションも上がっていたんだろうか。

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